あんでっど、姫!Scene3

しーん………。

今まで経験のしたことのない気まずい沈黙が流れている。

大広間に波多家当主とその妻、二人の娘である沙耶と香夜。本庄家当主と息子の清嗣。互いに言葉を発するでもなく、にらみ合う?訳でもなくそれぞれが視線を合わせないようにしている。死んだはずの人間が生き返って今目の前に居る…。しかも今後の事は先ほど相談して決めたばかりなのに。どうしたらよいのか、本人達を前にして話し合う訳にもいかず、誰も口を開こうとしないのだった。

「…え〜と…」
とりあえず自分が説明するのが早いかと思った沙耶が気まずさを背負いながら口を開いた。
「まず…心配かけて、ごめんなさい。とりあえず、今は大丈夫だから…」
「う、うむ…」
「それは、まぁ…」
本来なら喜ぶべきところであるのに、両家とも素直に喜ぶ事が出来ない。もちろん、それは子供3人にも言えることなのだけれども。
「ど、どうするかね、本庄殿…」
小声で親同士が話をしているのが聞き取れる。
だが、話を元に戻されては、沙耶も困るのだ。彼女に、時間はないのだから。
「あ、あのね?父上達が話されているのは、清嗣様とのことでしょ?−その事なら、私、ご遠慮しますわ」
「「…え?」」
二人の親が揃って同じ反応を示す。心なしか安堵の表情をしているように見えるのは、沙耶の思い違いではないだろう。そんな親が一瞬嫌だと思ったが、あくまでそれは表に出さず、兄の言葉を思い出しつつ、かつ先ほどの清嗣と香夜の会話はあくまで知らない振りを決め込む。触れられたくないだろうし、触れたくない。だから…。
「やはり、一度はこの世を離れた身の私など、ご不運をもたらします。もし差し支えがないのであれば、私のご縁談、香夜にしてもらう事はできませんか?」
「…姉様…?」
「沙耶殿…」
二人が沙耶を見つめる。あの時、二人には「驚かそうと思って〜♪」と言ってあるから、彼女達は知らないはずだ。沙耶が既に話を知っている事は。だからこそ、そんな渡りに船のような話をしている沙耶に驚きを隠せずに居る。
そんな子供達の微妙な心中を察する事もない、両家の親はこれまさに幸運と言わんばかりに頷きあっている。
「そ、そうか。それでよいのか?沙耶」
「ええ。そうしてください。是非」
表向きの笑顔とは裏腹に、心は痛んだ。だけど、仕方ないのだから。ちゃんと、お別れをする為に、戻ってきたのだから。自分に必死に言い聞かせた。
「そ、そうか…。沙耶に異存がないのであれば…。それにしても、よく戻ってきてくれた。疲れてはおらぬのか?今日明日はゆっくりすごしておくれ」
父の言葉に偽りは無いと思う。ゆっくり過ごすつもりは全く無いが、沙耶は素直に従った。
「わかりました。…それでは、失礼します」

「…沙耶殿」
再び元の部屋をあてがわれた沙耶が部屋へ戻ろうとすると、その入り口で清嗣が待っていた。
「あら?清嗣様。どうなさったのです?もう夜も更けてますからお休みになられてはいかがですか?」
「いや、先ほどのお話…」
言い切る前に沙耶の方から口を挟む。
「な〜に言ってるんですか?元々、家同士が決めたお話でしょ?私のようなあばずれ娘より、香夜の方が奥方には向いてますわ。私、本当は悩んでたんですよ?いいのかな〜私みたいなのが、って」
「ですが、それは…」
「…もうよいでしょう?お話は決まったんですし、私も少し休みたいのです。どうしても気になるというのでしたら、明日改めてお話いたしましょう?」
それだけ言い残すと、沙耶は部屋へするりと入り込んだ。
そのまま呆然と立ち尽くしている清嗣の気配を感じながら。

「ふはぁ〜〜」
改めて自室になった部屋にどっかと座り込んで、沙耶はまずため息をついた。まずは一つ問題は片付いた。あとは…考えを巡らせて見たけれど、なんだか体がだるくて思考が働かない。
「ま、急がなくってもいいか。さっきの今だし」
さっきの今で、幸いにもすぐ横になれる格好をしている。それをいい事に沙耶はそのまんま布団に転がり、意識を眠らせた。



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